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リレーコラム 草食投資隊、コツコツ前進中!

第17回不安定期こそ“価格”に惑わされずに、コツコツ長期投資を (コモンズ投信 渋澤健)

 去年2014年の株式市場の売買取引の初日にあたる大発会に、日経CNBCのマーケットコロンブスという生番組に出演した際に、「これから一年のキーワードは何か?」と聞かれました。私は、「変化と進化」と答えました。
 
 その一年間を改めて振り返ってみると、消費税の引き上げで国内景気の回復に迷いという変化がありました。夏に入ると日本の政治の史上において最も安定的に運営してきた内閣が、改造で数名の大臣席が入れ替わった瞬間に政局が動き始めます。アベノミクスへの期待の変化を感じられる最中に、秋には「黒田バズーカ」が再び放たれ、あれよあれよという間に、国民のほとんどが想定していなかった解散・選挙へと流れました。
 
 一方、海外情勢では中国経済の失速、ロシアとウクライナの紛争など近年のBRIC諸国の勢いに変化が見られるようになりました。地政学的な政治の駆け引きが原因なのか、原油価格の今までの上昇基調が一転して大暴落が始まります。為替市場でも、夏から年末には円の価値がドルに対して20パーセントぐらい下落します。
 
 このような環境変化の中、「伊藤レポート」(持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~プロジェクト)が示すように、資本コストを上回るROE(自己資本利益率)を意識して「進化」を図る日本企業の数が増えてきました。結果的に、このように「進化」する企業に投資しているポートフォリオは、全体(TOPIX)や平均(日経225)を大きく上回る運用実績を投資家に還元できた一年となりました。
 
 また、資産運用業界の風向きの変化も感じる一年でした。その変化を象徴したのは、2015年の正月に箱根駅伝のTV中継で流れた某メガバンクのCMです。駅伝には不思議な魔力があり、ただただ走り続けている若者たちの映像に引き寄せられるので、CMスポットの価格設定はかなり強気だと思います。つまり、スポンサーが、気合を入れてアピールしたい商品やサービスしか登場することがないスポットです。
 
 若い女性が投資の「ハードル」が高いと躊躇しています。そこに、「月々1000円から始められるので、ハードルは高くありません」という呼びかけがあり、「これなら、私も始められるかも!」と、低いハードルを笑顔で軽々と飛び越える。それだけのことのCMでした。しかし、これは今までの金融界の常識では考えられないことです。
 
 草食投資隊を4年前に結成してから推薦してきた、コツコツと積み立てる長期投資。これは大手証券やメガバンクなどが入ってくる領域ではありませんでした。なぜなら、投資家寄りの薄利のビジネスだからです。いままでの金融業界のモデルとは、お金を持っている層から高い手数料収入を獲得するというフロー型ビジネスでした。資産運用においては、主に高度成長の恩恵を受けて現預金や資産をすでに保有している60歳代以上の世代層に投資信託など金融商品を勧誘して、販売手数料による稼ぎを重視するビジネスモデルです。
 
 ところが、私たち草食投資隊など独立系投信会社が提案してきた金融サービスとは、これから20年、30年、40年間も現役として働く世代の未来の生活を補う「年金サプリ」を長期的に積み立てていくことです。この層は、高度経済成長の恩恵を受けていません。現在のストック(現預金や資産など)が乏しく、いままで既存金融機関から資産運用の有望な顧客先としてみなされていなかったのです。
 
 そのニッチと思っていた領域が実は王道であるということに、メガバンクや大手証券などが気づいてきたのです。これは、大きな変化です。ということは、私たち草食投資隊にとっても更なる進化が必要となります。
 
 去年は、中野さんのセゾン投信は日本全国に2万局以上の拠点を有する日本郵便から出資を受けました。また、藤野さんが運用する「ひふみプラス」は但馬銀行と秋田銀行の取り扱いから始まり、ふくおかフィナンシャルグループとの取引も始まりました。私たちコモンズ投信も、静岡銀行と「コモンズ30+しずぎんファンド」という専用ファンドを設定しました。このハイブリッド型ファンドは①地域創生を担う金融機関の収益を圏内に還元することと同時に、②世界の成長を圏内へ取り込む新しいチャレンジです。地域社会で暮らす個人が豊かな生活を未来へ持続させるために、コツコツと積み立てる長期投資を様々なパートナーと組みながらも現役世代を中心にお届けする草食投資隊の進化が見られる一年になったのです。
 
 さて、では2015年は、どうでしょう。今年の大発会に再び日経CNBCのマーケットコロンブスに出演させていただきました。そして、私が提示した今年のキーワードは「不安定期」です。今までのトレンドに変化があれば、当然ながら、それは不安定期へとつながります。
 
 そのように番組で発言してから、たった数週間。ユーロ圏は荒れています。経済的格差社会と負の歴史のマグマが噴出して、フランスでは痛ましいテロ事件が起きました。ユーロ圏の政治・財政の状態がECBの量的緩和や通貨政策の運営を困難にしています。その影響がスイスフランへと飛び火します。スイス中央銀行が対ユーロのスイスフランの上限キャップを廃止するというニュースで、対ユーロのフランは1.20から0.80まで瞬間的に30%以上暴騰し、1.00まで再び下落するという大激震が走る一日になりました。
 
 でも、これから今年の最も大きな不安定な経済的要素になるのはユーロ圏ではなく、アメリカの量的緩和の出口かもしれません。現在、アメリカの経済成長が世界で唯一の輝いているスポットです。しかし、そのアメリカも異なる次元の量的緩和からの出口となると、その状態を市場が織り込むことは難しいのではないかと思います。しばらく神経質な状態が続くでしょう。
 
 一方、国内では佐賀県知事選では自民党が支援していた実績がある改革派候補ではなく、農協が支援していた候補が当選しました。アベノミクス解散によって、自民党は数的には安定した状態に見えますが、政策決定を支える質的な安定感はそれほど万全ではないでしょう。4月の全国統一地方選、そして、9月の自民党総裁選挙。岩盤に大きな穴をあけるような第三の矢が現れると思わない方が無難です。
 
 以上のような内外情勢によって、年初から株式市場は乱高下しています。このような不安定期に、どのような投資の心構えが必要でしょうか。まず、価格に惑わされることなく、“価値”をしっかりと見ることです。投資判断の基準として、価格(株価)を置き換えてしまうと、高値では価値が高いと思うから買ってしまい、逆に安値では価値が低いと思うから売ってしまいます。つまり、高値でつかんで、安値で投げるということです。一方、“価値”をしっかりと見極めれば、その“価値”より低い状態で価格(株価)が推移すれば買いチャンスになります。
 
 もうひとつの大切な心構えは、不安定期であるからこそ安定的に投資することです。つまり、長期的な視野をもって、コツコツと積み立てる投資です。不安定期に目先のことだけを見て動くと、その不安定な動きに振り回されます。変動が高い不安定期であるからこそ、肩の力を抜いた状態で長期的な目線で、草食投資隊とともに一歩一歩ずつ未来資産を育んで行きましょう。本年もどうぞよろしくお願いいたします!
 

コモンズ投信 渋澤健


 
<草食系投資隊の本>
「運用のプロが教える草食系投資」
渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
価格: ¥1,620
出版社: 日本経済新聞出版社 (2010/4/24)
単行本(ソフトカバー): 200ページ
 
「30歳からはじめる お金の育て方入門-貯めながら殖やす新しい習慣-」
渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
価格 : ¥1,512
出版社: 同文館出版 (2013/2/13)
単行本(ソフトカバー): 224ページ


 

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