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第9回不確実な時代にお金のリスクを分散する (コモンズ投信 渋澤健)

 消費税が5%から8%に上がりました。日常的に店頭などで支払う価格の切りが微妙に変わったところが多く、一円玉を意識的に使わないと小銭入れがすぐに溢れてしまうかもしれないですね。改めて「お金」について考えてみましょう。
 
 お金の役目は主に三つあります。ひとつは『交換の手段』です。物品交換しかできなかった古き時代は不便だったでしょうね。お金という存在は人類の最大の知恵のひとつです。簡単に持ち運びできるポータビリティを備えたお金をモノとの交換(決済)に使えるようになったので、人々の生活の向上へとつながりました。
 
 モノと交換できる機能を持つお金なので、当然ながら、我々は少ない状態より多い方が良いと感じます。お金持ちになりたいという願望(あるいは、お金持ちへの嫉妬)は古代から人々が抱えていた感情です。ただ、モノだけではなく、自分の労力(仕事)に対して交換される対価がマネーです。そういう意味で、金銭教育の根本には「働く」という基礎の理解が不可欠です。
 
 もうひとつの役目が『価値の尺度』です。世の中の無数の商品やサービスの価値を判断するには、単一な尺度の存在が便利です。お金(価格)は、価値の「見える化」の役目を果たしていると言えるでしょう。ただ、気を付けないと、ここには落とし穴があります。値段(価格)が尺度というメジャメントではなく、価値そのものと思ってしまうからです。
 
 たとえば、「働く」ということに関して、より高い付加価値をつくる成果に対して、より高い収入を得られるということが基本のはずです。ただ、給料が高い仕事と比べて、給料が低い(あるいはボランティアの)仕事が社会にとって低い付加価値をつくっているとは言えないはずです。笑顔に値段を付けることはできませんが、価値はゼロでしょうか。むしろ、私たちの豊かな生活にとって、笑顔は最も大切な価値です。単一な尺度であっても、それは万能ではなくて世の中の全てを測ることはできません。ですから、測ることができないから価値がない訳ではないという認識が必要です。
 
 投資とは「安い株価(価格)で買って、高い株価で売る」ことと思っているのが一般的です。しかし、正確には、「自分が思っている価値と比べて価格(株価)が安ければ買って、価値と比べると価格が高ければ売る」ことが投資の基本です。つまり、投資判断で不可欠な基準は「価格(値段)」ではなく、「価値」なのです。ただ、お金という尺度と異なり、単一的に正しい「価値」は、この世の中に存在していません。それぞれの視点、経験、環境、動機、思考などによって、「価値」は異なります。尺度であるお金に目を奪われず、「価値」を探求することが投資の本来の姿です。
 
 さて、お金の三つ目の役目ですが、これは『価値の貯蔵』です。つまり、現在から未来へと私たちの大切な財産を貯めて保全することです。インフレとはモノやサービスと比べてお金の価値が下がる状態で、デフレとはお金の価値が相対的に上がる状態を示します。近年の文脈でデフレが「悪者」にされている理由は、お金の価値が相対的に高まる状態では、そのお金を「貯蔵」する傾向が高まり、「経済の血液」が循環しなくなり、社会が不健康な状態に陥るからです。
 
 かつて、日本ではインフレの時代もありました。しかし、その時代背景には経済成長があったのです。成長があれば自分の労力に対して入ってくるお金の量が年々増えた時代なので、貯蔵しているお金の価値が少々下がっても問題ありませんでした。また、そういう意味では、低成長で自分の労力に対して入ってくるお金の量が乏しくなっている時代では、デフレでお金の価値が相対的に上がって物価が安くなるセイフティ・ネットという側面もあったのです。
 
 問題は、これからです。経済の停滞時代が続いているのに物価やサービス料が上昇するインフレ(スタグフレ―ション)になった状態で自分の財産の貯蔵が現金(お金)だけだったら……つまり、貯めているお金の価値が下がり、労力に対して自分の懐に入ってくるお金の量も増えない。これでは、楽観的なシナリオでも「ジリ貧」です。私たち日本人は、お金にリスクがある時代に入っていることをしっかりと認識すべきです。
 
 リスクと聞くと「危険」というイメージがあるようですが、正確な定義は「不確実性」です。アベノミクスの第一の矢の金融政策は「異なる次元」に入ったということが公言されています。「異なる次元」の金融政策であれば、お金の価値の「不確実性」が高まったということは当たり前です。リスクが高まった状態で行うべき合理的な判断と行動はリスク分散です。私たち日本人がお金を貯蔵すれば貯蔵するほど、お金のリスクが高まっている。いまの日本はそんな状態です。
 
 では、リスクを分散するために何をすれば良いか。それは、簡単です。手元にあるお金を「価値」と交換するのです。それは、モノやサービスという価値との交換(消費)かもしれません。消費が活発になれば、経済が活性し、社会における自分の労力の対価が上がって、結果的に自分の懐に入ってくるお金の量が増えます。また、未来への希望・期待(長期投資)という価値と交換するのも効果的です。投資とは手元からお金を投げ捨てることではなく、世界からの成長を自分の懐に呼びこむことなのです。
 
 お金のリスクを分散するという観点から、ぜひ、長期投資の世界を眺めてみてください。いままでとは異なる風景が見えてくるでしょう。
 

コモンズ投信 渋澤健


 
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渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
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出版社: 日本経済新聞出版社 (2010/4/24)
単行本(ソフトカバー): 200ページ
 


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渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
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