まとなび 特集

TOP > ファンド情報 > 特集 > 特集詳細

リレーコラム 草食投資隊、コツコツ前進中!

第20回幸せを求め続ける長期投資 (コモンズ投信 渋澤健)

 2000年に新しいミレニアムに入ってから二回目という記念的な出来事が最近、起こりました。日経平均225が20,000円大台に乗せたのです。これは、喜ばしいことです。ただ、「20,000円」の意味もきちんと理解する必要があります。
 
 数字は記録として便利です。前回、日経平均が20,000円台に達したのは2000年の春であるということがすぐにわかります。しかし、表面的な数字だけでは内容が正確に読み取れない場合があります。
 
 例えば、日経平均を構成する225銘柄。2000年の株価の水準と比べると既に何倍も上回っている企業もあれば、株価がかなり下回っている企業もあります。ファーストリテイリングの現在の株価(分割調整後)は2000年の春から比べると4倍弱上昇していますが、シャープの現在の株価は当時と比べると90%ぐらい大暴落しています。
 
 つまり、平均株価という数字の水面下では、それぞれの企業の株価の動きがバラバラなのです。ということは、当時の20,000円の意味と現在の20,000円の意味は全く異る存在です。
 
 日経平均が20,000円という同じ数字なのに、それを構成する株価がバラバラである理由は簡単です。この15年間、企業価値を著しく高めた企業の株価が倍増し、逆に価値を高めることができなかった企業の株価は低迷したからです。株価という数値を持続的に支えるのは、あくまでも企業の価値創造なのです。
 
 今から投資を始める方々は、果たして次のどちらに安心感を覚えるでしょうか。225社の平均株価が20,000円まで戻したということ。それとも、その225社の内の多くの企業の持続的な価値創造に自ら納得するということ。それは、後者のはずですね。
 
 幸せな生活が持続的に継続することを目指すのが長期投資です。そして、その長期投資の大切な心構えとは、企業の「価格」という株価を追う姿勢ではなく、企業の「価値」への着眼点です。
 
 そもそも「幸せな」とは何でしょうか。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長である前野隆司先生の研究によると、長続きする幸せと長続きしない幸せがあるようです。もともとロボット学の専門家であった前野先生が、人間の「幸福」のメカニズムを研究されているとは面白いですね。ロジックによって反応するロボットと異なり、有機的な存在である人間がどのような状態のときに幸せの反応を示すのでしょうか。
 
 まず、長続きしない幸せ。これは、金、モノ、あるいは社会的地位などがもたらす幸せのようです。いくら稼いでも、いくらモノに溢れても、いくら偉くなっても、その時一時的に幸せは感じますが、その幸せの高まり感は長く続かないようです。なぜなら、自分より稼いでいる人、モノを持っている人、偉い人が、いずれ気になってくるからでしょう。どうやら、日経平均の20,000円で感じる幸せとは、長続きしないものと思った方が良いようです。
 
 では、長続きする幸せとは何でしょう。まず、「安全」など、環境に基づく幸せは長続きするようです。また、「健康」など、身体に基づく幸せも長続きします。そして、もちろん、「心」の要因も長続きする幸せです。ただ、心の幸せでは、次の4つのファクター(因子)を同時に満たす必要があるそうです。①自己実現と成長、②つながりと感謝、③前向きと楽観、④独立とマイペース。
 
 この研究成果について前野先生からお話を伺ったとき、我が意を得たりと思いました。なぜなら、これって、まさに長期投資の目的だからです。
 
 現在の生活が精一杯なのに、30年先など遠い未来のことを日常的に意識している人々は少ないかもしれません。でも、長続きする幸せをもたらす安全と健康は、誰でも確保したいと思っていることです。安全な環境で健康な身体であれば、自分や子供や孫の30年後は必ず訪れます。仮に30年後に自分がこの世にいなくても、自分が愛しい家族や仲間たちが幸せな生活を送っていることを見守っていたいという気持ちがあるはずです。
 
 毎月、定額の積み立て投資を始めれば、毎日30年後を意識する必要ありません。ただ、安全、健康という長続きする幸せと共に、未来の幸せのためにコツコツと行動している。そんなことを考えるだけで、ちょっぴり幸せな気分を味わっていると思いませんか。
 
 自分自身の未来へ。自分の子や孫という次世代への未来へ。それに向かって、地道にコツコツと行動することは、まさに人生における自己実現、そして、自身の成長につながっています。
 
 また、短期的な投資は、相場と打ち合うという感覚がありますが、長期投資には他の仲間たちとのつながりがあります。これは、とてもありがたいことです。草食投資隊の5年間の活動の肌感覚で感じていることでありますが、長期投資のコミュニティは脈々と拡大しています。直販の長期投資を通じて、運用会社とのつながりだけではなく、個人同士のつながりが各地域で増えていることは本当に素晴らしいと思います。
 
 これから、日本の少子高齢化は本格化します。財政悪化の出口は見えない。また、世界情勢も目まぐるしいです。しかし、事業環境が変化することがあっても、企業の進化による持続的な価値創造で、「今日よりも、よい明日」が可能になるという「前向きと楽観」は大切な心構えです。
 
 そして、短期的な相場動向に左右されなく、財産形成に努めるということは、まさに自分の将来の生活において「独立とマイペース」を守るためです。
 
 私自身が、長期投資を始めたのは2000年。ちょうど、日経平均が2万円ぐらいのときでした。そのきっかけは、生まれたばかりの自分の子供の未来の幸せ、そして、自分自身の老後の幸せを確保したいという想いでした。そのために、コツコツと積み立てる長期投資の実践することに思い立ち、子供名義と自分自身の口座を開設しました。
 
 ところが、その後の数年間、株式市場は下落し続けます。そして、2004~5年に底入れしてから上昇基調へ……と思ったら、2008年のリーマンショックを食らう。そこから、また、数年間かけて市場は低迷。そして、アベノミクス相場が始まって現在に至ったところです。
 
 ただ、長い年月の間、一回も解約したいと思ったことありませんでした。なぜなら、「自分は「幸せ」を求める気持ちを解約して止めたいと思うことがなかったからだ」と、前野先生のお話を伺って気づかされました。
 
 最近、確認してみたら、親子共に残高は順調に成長していました。これからの相場の展開はわかりませんが、自分は自分と自分の家族の「幸せ」を求め続けます。皆さんは、どうされますか。
 

コモンズ投信 渋澤健


 
<草食系投資隊の本>
 
「30歳からはじめる お金の育て方入門-貯めながら殖やす新しい習慣-」
渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
価格 : ¥1,512
出版社: 同文館出版 (2013/2/13)
単行本(ソフトカバー): 224ページ
 
「運用のプロが教える草食系投資」
渋澤健(著) 中野晴啓(著) 藤野英人(著)
価格: ¥1,620
出版社: 日本経済新聞出版社 (2010/4/24)
単行本(ソフトカバー): 200ページ
 


 

リレーコラム 草食投資隊、コツコツ前進中!

「最新のテーマ・タイトル」

新規登録
はじめての方
保有するファンドや気になるファンドを登録して自分だけのポートフォリオをつくってみましょう!
「投信まとなび」では投資信託のランキングを様々な角度からご紹介!